デュシャンヌ徴候・トレンデレンブルグ徴候
こんにちは、広報担当の石井(部門責任者の石井さん被せていただいてありがとうございます。笑)です。
今日は先日の症例報告会の中でピックアップされたデュシャンヌ徴候及び、トレンデレンブルグ徴候について少しお話しできればと思います。
臨床の中で、股関節周囲の骨折や変形性股関節症、その他の疾患でもデュシャンヌ徴候やトレンデレンブルグ徴候には本当に頻回に出会います。
各徴候の原因は中殿筋の機能不全であるといわれることが多いと思います。しかし、中殿筋の筋力増強練習を行ってもパフォーマンスの改善がみられないことも多分にありますね。
そんな時、私はコアスタビリティや仙腸関節、臼蓋の被覆率、膝関節や足関節の状態、神経系の関与等を考えつつ、歩行や片脚立位の動作・姿勢分析を行っていますが、やはり中殿筋の弱化がみられる方は多く、中殿筋力の正確な評価は上記の徴候をとらえるにあたって非常に重要だと感じています。
特に股関節疾患においては、中殿筋の機能改善に限界がみられる場合もあり、理学療法学 第19巻 第1号(1992年)に掲載されている坂本年将らの「股関節疾患患者の前額面で観察される跛行の原因について」で跛行と外転筋力、X線画像についてこのように紹介されています。
これは、34例の股関節疾患患者の歩行とX線画像等の評価から前額面上で観察される跛行の原因として考えられる疼痛と脚長差以外の因子について検討したものです。
結論としては外転筋力に加え大腿骨頭の上外方移動の程度が跛行に大きな影響を与える因子として考えられると述べています。
大腿骨頭の上外方化が起これば、中殿筋のレバーアームは減少し、当然出力は発揮されにくくなりますね。そのような状態の中殿筋にトレーニングを行ってもなかなか効果は得られないでしょう。
X線画像の計測値としてはHLI(骨頭外方化指数)、HVI(骨頭上方化指数)というそうです。
X線画像の読影から運動療法を考え、歩行の予後・歩行形態を予測し、患者様のライフスタイルを提案していくことは難しいことですが、非常に重要なことですね。
今回の更新は以上になります。拙い文章ですが最後までお読みいただきありがとうございました。