文献抄読会 10月12日
みなさん、こんにちは。広報担当の石井岳です。
以前告知していた10月3日の第一回文献抄読会は延期となり、10月12日に行われました。
本日は文献抄読会の概要と第一回の内容をお伝えできればと思います。
今後、文献抄読会は月一回のペースで行われ、毎月参加者が交代制で文献のプレゼンを行っていきます。
本文献抄読会の目的は以下の通りとなっています。
・logical thinking及びclinical reasoning(論理的・批判的思考)を養う
・臨床や学術活動に役立つ根拠の充実
・プレゼンテーション能力の向上
第一回のプレゼンターは石井達也さんで文献の使い方、検索方法、英論文を選ぶ・読む方法の講義に加えて、2009年の臨床バイオメカニクス学会誌に掲載された宮地司らの「筋電気刺激を利用したClosed Kinetic chainにおける二関節筋作用の解析」という文献を紹介してくれました。
以下、簡単に文献の内容を紹介させていただきます。
健常成人男性19名を対象として、座位(体幹垂直位、膝関節屈曲60°、足関節背屈10°)にて右下肢キッキング動作中に大腿直筋、内・外側広筋、内・外側ハムストリングスにそれぞれ電気刺激を行う。その際、床反力計と荷重解析システムにて各関節モーメントと床反力ベクトルへの垂線×力の強さを算出し、検討したものです。
結果は、広筋群への電気刺激時には床反力ベクトルは股関節と膝関節のほぼ中間を通り、足部の出力は最も大きくなりました。大腿直筋への電気刺激時には床反力ベクトルは股関節の後方を通り、ハムストリングスへの電気刺激時には床反力ベクトルは膝関節のすぐ後方を通っていました。また2つの筋の足部出力は同程度でした。
考察では、以上の結果から、CKCにおいて単関節筋である広筋群は出力に関与し、二関節筋である大腿直筋、ハムストリングスは出力の方向制御に関与していると考えられる。また、ハムストリングスは股関節モーメントアーム長が膝関節に比べて有意に大きくなっていたことからCKCでは股関節伸展及び膝関節伸展作用を持つと考えられると述べられています。
本文献抄読会では、スライドの最後に臨床的意義というスライドを作成し、その文献をいかに臨床へ繋げるかをディスカッションできる場となっています。
今回紹介した文献の臨床的意義としては、CKCの動作上での単関節筋と二関節筋の特性と床反力との関係を理解することで膝関節の観察のポイントが見えてくるということでした。
今回は第一回ということもあり、ディスカッションもほどほどでしたが、今後回数を重ねていくことで論理的思考が鍛えられ、より有意義なディスカッションができる場となっていくのだろうな~などと考えております。笑
また臨床の疑問を解決していくきっかけになっていければと思います。
長文になりましたが最後までお付き合いいただきありがとうございます。第二回は11月9日を予定しています。
板リハPT部門の詳細はこちらのHPにて紹介しています。
中途採用の募集も行っていますので興味がありましたら電話・見学等お待ちしています。
全国学術研修大会in沖縄に参加して
こんにちは。広報担当の小栢です。
先日、第51回 日本理学療法士協会 全国学術研修大会 in 沖縄 へ参加してきました。
全国学術研修大会は、全国各地の著名な先生方の講演を拝聴できるもので、私は今回初めて参加させて頂きました。
今大会では、以前から私が興味を持っていた予防分野の講演もいくつかありました。
その中でも今回は、沖縄メディカル病院 副院長 吉田 貞夫先生の講演についての感想を述べさせていただこうと思います。
タイトルは
「リハビリテーションにおける進化型栄養サポートの必要性 〜フレイル、サルコペニア、認知症と向き合って、アウトカムの改善へ〜」
吉田先生は医師の視点からリハビリテーションについて述べていました。
特に、認知症に対するサポートとして、リハビリスタッフとして栄養面に気づきを持つことの重要性について述べられていました。
私自身、認知症に対するリハビリテーションには難しさを感じることが多分にあります。
それは、ADLにおける改善率があまり高くないことによるものだと考えられます。
チームアプローチとして、栄養状態や体重、口腔機能などについても評価していくことで、フレイル、サルコペニア状態にあるより運動療法の効果を高める必要があると確認することができました。
近年の学術集会などでは、フレイル、サルコペニア、認知症などの予防分野についての研究発表が増加傾向にあるように思います。
実際に今大会でも多くの予防についての講演がありました。
それだけ関心が高まっている分野であり、解決を求められている分野だと感じています。
また、これまで私が興味をもっていた分野でもある、行動変容や認知行動療法などについても講演の中で触れている講演がいくつかあり、改めてその必要性や重要性を再確認することができました。
当院においても、さらなる予防分野に対する関心をもち、介入や研究を進めていく必要があると、今大会を通して感じました。
今回は長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
部門責任者より - イムス板橋リハビリテーション病院 理学療法部門HP
外部講師の勉強会
理学療法士にとって「歩行分析」は切っても切れない関係にあると思っています。歩行は問題を包み隠さず、介入の手段を提供してくれるまさに情報源。そんなことを帰宅途中の電車内で考えています。
さて、今日は業務後に外部講師の方に勉強会をしていただきました。講師は了徳寺大学の盆子原秀三先生です。テーマはもちろん「臨床に役立つ歩行分析」です。
盆子原先生は「観察による歩行分析」の共訳者であり、臨床歩行分析研究会でもご活躍されています。私の学生時代の恩師で、そのご縁もあり毎年当院にて歩行分析に関する講義をしていただいてます。
歩行分析において重要なことは、トリックモーションの原因がどこに潜んでいるかだということを再認識することができました。見抜くポイントは「縦の関係性」ですね。各関節で生じている逸脱動作という点と点を、線で繋げることを心がけたいと思います。その積み重ねが自分の中での多様な分析パターンの形成となり、画一的な分析を免れるわけです。
今日の勉強会は33名のPTが参加しました。この講義を受けて何人のPTが明日から実践していくか、楽しみですね。
お忙しい中、また授業後の遅い時間にも関わらず快く講師を引き受けてくださった盆子原先生に感謝申し上げます。ありがとうございました。
石井達也
心臓リハビリテーション連携の会
初投稿になります。心臓リハビリテーション部門の山本です。
当院(板リハ)は心臓リハビリテーションを行っているリハ病院です。日本ではなかなかなく全国でも8%程度のようです。
回リハでの心リハの特徴は
・重症
・虚弱
・廃用
・合併症
・高齢
・認知症
といったところでしょうか。これの中のいくつかが当てはまることが多いです。
もちろん人工呼吸器等があるわけではないので重症例にも限界はあります。
また、介護保険分野につなげることも多くあります。
そこで重要なのが連携です。
ようやく本題に入りますが、板橋区では帝京大学付属病院を中心として「心臓リハビリテーション連携の会」という勉強会を半年に1回開催しています。そこでの写真がこちらです。
160名程度が集まる多職種の勉強会です。
そこで当院のPTの清水君が症例発表をしてきました。心臓移植後という回復期ではまず見ることのない症例ということもあり、様々なディスカッションができました。
また、浮間中央病院の症例や帝京の管理栄養士の先生が「入院から始める再発予防食事プログラム」と題して勉強会を行ってくれました。
この会は多施設(帝京・板リハ・上尾中央等)の多職種(医師・理学療法士・看護師等)が集まる勉強会なのでとてもためになります。明日から使える知識がよく出てきます。これからも連携を密に行い、患者さんのためになる知識を増やして行ければと思います。
また、これは私はSHA(Severe Heart Action)という重症心疾患のリハの勉強会を定期的に行っています。次回は3回目で「在宅で心疾患を診る」がテーマです。もし興味あれば連絡してください。案内を送ります。
こんな感じで細々と心リハやってます。初投稿なので固めにしましたが、次に投稿するときはもう少し濃い内容を話します。ブログ書くのって難しいですね。
山本智史
第2回 Itareha Study Group
こんばんは、責任者の石井です。先日、動作・行動SIGの報告をしましたが、今回は「Itareha Study Group」の活動報告です。
完全に趣味の範疇ですが、今年度より休みの日に当院の会議室を使用して勉強会をおこなっています(休みの日なので「施設利用届け」という書類を提出しておこなっていますw)。まず、休みにも関わらず参加しているメンバー全員に敬意を表します。
当院PTリーダーの新川、他施設の所属ですが同じように熱意を持って日々勉強に取り組んでいる本多、そして私の3人でこの勉強会を運営しています(日程や詳細は「板リハPTホームページ」のTwitterリンクにアップしています)。
本日、第2回 Itareha Study Group勉強会がおこなわれました。テーマは肩関節です。
5時間という長丁場を「肩関節の解剖学と触診」、「肩関節のスポーツ障害」、「夜間痛のメカニズムと運動療法」という3部でおこないました。講師をした我々はリハビリ科の研修などもおこなっています。しかし、この勉強会の参加者は休みを取って来ているので、こちらとしても生半可な気持ちではできません。我々3人も汗をかきながら、拙い説明ですが一生懸命伝えることに専念しました。何より、エビデンスに基づいて説明することを心掛けました。
次回は11月20日(日)を予定しています。内容は確定していませんが、「脳神経系」「運動生理学」「バランス」などをキーワードにしようと3人で考えています。
そして10月3日は「論文抄読会」があります。Logical thinkingやCritical thinking、プレゼンテーション能力、英語力を養えるようなスタイルでやろうと企てているのでそちらも楽しみです。また報告できればと思います。失礼しました。
石井達也
症例報告会 9月7日
みなさんお久しぶりです。広報担当の石井です。
今日は9月7日水曜日の症例報告会の報告をしたいと思います。
症例報告は3件行われました。今回はそのうちの1つ「急性腎障害-疼痛への関わり-」というタイトルの発表を紹介していきたいと思います。
疼痛の訴えが各所にみられ、病前は自宅に籠りがちだった急性腎障害後廃用症候群の症例に対し、慢性化した疼痛に対する運動療法と認知行動療法から歩行の獲得・活動量の増加を図ったという報告でした。
慢性化した疼痛には心因性の要素も多分にみられたようですが、疼痛を精査していき改善可能な器質的疼痛に対し的確に介入していくことで認知行動療法の効果も大きくなったようです。
質疑応答では、疼痛の変化に伴う各姿勢や動作の変化についてのディスカッションで盛り上がりました。
また、先日の動作・行動SIGで行われたFrailtyの勉強会でMental Frailtyという言葉を最近知った私としては改めて回復期リハビリテーションにおけるMental面への介入の重要性を確認できました。
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。
板リハPT部門の詳細はこちらのHPにて紹介しています。
中途採用の募集も行っていますので興味がありましたら電話・見学等お待ちしています。
動作・行動 SIG
本日も動作・行動SIGは活動しました。実技を中心におこなってきましたが、今日は講義です。内容は「Frailty」です。
今日の講師は3年目の小栢(おがや)です。彼は地域貢献委員会が主催する板橋区の住民を対象とした「出前体操教室」などもおこなっています。行動変容、予防理学療法などを得意分野とし、昨年札幌で開催された第1回 日本予防理学療法学会において「精神疾患患者に対する活動量計を用いた理学療法介入」を発表しています。
Frailtyとは、衰弱、筋力低下、活動性低下、認知機能低下、精神活動低下など健康障害を起こしやすい脆弱な状態のことを指します。こういう状態に陥らないよう、定期的な運動が必要です。また、その運動の量や質が大切であるということを再認識しました。私たちは「自立」を目指すだけでなく、「自律」を目指す必要があるのです。そしてそのためには、運動の効果判定をするための適切な評価が重要ですね。
Frailtyとは何か、みんな少しずつですが理解をしていたようです。講義後も積極的に質問が出ていたので、聞いていた自分も満足です。楽しかったです。
次回も小栢が「行動変容」に関して講義をします。その前に、足部の触診があったでしょうか。自分の「立位姿勢の制御機構」もあります。また、こちらで報告できればと思います。
石井達也