イムス板橋リハビリテーション病院 理学療法BLOG

東京都板橋区のイムス板橋リハビリテーション病院 理学療法部門の活動報告BLOGです。勉強会や学会参加報告など当院の理学療法部門の魅力をお伝えできればと思います。気になった方はこちらのHPにもアクセスしてみてください。 HP: http://itareha-pt.jimdo.com/ 休日勉強会グループItareha Study GroupのTwitterものぞいてみてください。Twitter : https://twitter.com/ItarehaStudy?lang=ja

地域リハ研修

最近は管理業務とOn the Job Trainingが主な仕事内容となっているので患者様を担当していませんが、数年前に担当していた患者様が今どのような生活を送っているのか想像することがあります。入院生活だけでなく、退院後の生活まで見据えた予後予測をしようと思っていますが、その通りにいくことなんてほぼないと思っています。良いも悪いも。。。だけどそれを考え続けるのが我々の役割なんだと思います。

 

当院では2年目の院内研修として「地域リハ研修」という制度を設けています。2年目のリハスタッフが1年目の時に担当した患者様のご自宅を訪問し、自分たちの退院支援で見直すべきとこはどこなのかということを学ぶ機会になってもらえれば、といった思いから始まった研修です。自宅訪問には2年目のリハスタッフだけでなく、特に関わりの深かった看護師、ケアワーカー、薬剤師、MSWの最大5名で伺います。そして帰院し、訪問したチームでそのことをまとめ、地域リハ研修報告会という形で院内ポスター発表会をおこないます。今年も11月30日に発表会をおこないました。

 

f:id:itarehapt:20161213084137j:plain 

 

毎年考えさせられるのが、自宅や環境が及ぼす影響ってすごいな、てことです。チームで立てた目標をはるか上回る生活を送っていることもあります。薬の自己管理ができないと思っていた患者様がしっかり自己管理していたり、自主トレメニューをやらずにもっとレベルの高い生活(行動)ができていたり。

 

f:id:itarehapt:20161213084304j:plain

 

今年は参加者からの質問も多く、看護師、リハビリ、薬剤師、MSWなど、さまざまな視点からの意見が飛び交いとても有意義な時間だったのではないでしょうか。院長先生をはじめ参加してくれた多くの方々、発表者、そして準備期間を含めると3〜4ヶ月という長い期間動き回ってくれた教育研修委員会のみな様、ありがとうございました。また課題も見つかり、すでに教育研修委員会では来年に向けて動き出そうとしています。もっと多職種で検討しあえる発表会にできたらいいなと思います。

 

f:id:itarehapt:20161213084406j:plain

 

この仕事は一期一会だと思っていますが、こういうのっていいなと心底思う研修です。

 

石井達也

Itareha Study Group

11/20(日)に10:00〜16:00までの勉強会を開催しました。もちろん休みを利用してです(以前もお伝えしたかと思いますが、休みの日なので「施設使用届け」という書類を提出して開催しています)。今回は脳機能、脳卒中患者の肩関節、脳卒中患者の歩行・動作分析という3テーマでおこないました。

 

f:id:itarehapt:20161122225033j:plain

 

私たちは回復期病院で働くPTです。疾患の割合は半数以上が脳卒中患者になります。リスク管理をしながら、後方より抱え込むようにして歩行練習をおこなうことが多いです。そのためには基本的な知識を有しておかなくてはなりませんが、技術もおおいに大切です。

 

f:id:itarehapt:20161122225719j:plain

 

歩行だけに視点をおいてはいけません。肩が痛い、手が痛い、なんてことも多いです。やはり疼痛が出現してからではなく、予防することが大切になります。早期からの管理に目を向けなくてはなりません。特に上肢に関しては「作業」を大切にする当院のOTからの情報も重要です。上肢が主体的に生活に参加できるよう、PTとOTで管理していくことを心がけています。

 

f:id:itarehapt:20161122230555j:plain

 

f:id:itarehapt:20161122230631j:plain

 

講師をしてくれた二人のPTは、忙しい中での資料作成、大変だったと思います。ありがとうございます。そして休みの日にも関わらず参加している、当院の熱意をもったPTにも敬意を表したいと思います。お疲れさまでした。

次回は1/29(日)を予定しています。内容はまだ未定ですが、実技の時間を多く取り入れて臨床に役立つものにしたいと思っています。

 

石井達也

呼吸リハ伝達講習

伝達講習会をおこないました。

 

当院には3学会合同呼吸療法認定士の資格を持つPTが複数名います。今日はそのうちの一人である柴田に、解剖・触診・打診・聴診などの呼吸リハに関する伝達講習会をしてもらいました。

 

f:id:itarehapt:20161103224953j:plain

 

彼女は、整形外科、神経系、触診、行動心理学、呼吸器系と多方面の分野を積極的に勉強しています。中でも呼吸リハに関しては、得意分野として確立されつつあるのではないでしょうか。今回の伝達講習会は自ら開催を志願しておこなわれました。頼もしいです。

 

f:id:itarehapt:20161103230110j:plain

 

打診・触診による肺区域の見分け方や聴診での評価など、回復期リハ病院においても必要とされることは多いです。また、自己排痰ができない場合には、スクイージングによる排痰技術も必要とされます。これらにより運動耐用能が改善することで、より質の高い日常生活が送れるようにもなります。

 

f:id:itarehapt:20161103231630j:plain

 

ひとつひとつ丁寧に指導してくれ、参加者は得るものが多かったのではないでしょうか。今回の講義を受講し、自分ももっとこの分野を勉強したいと思いました。おそるべし、認定士の力。。。 リハ科教育委員として、年間教育計画にもっと組み込んでいこうと思います。

 

次回、またよろしく!

 

石井達也

理学療法学掲載

板リハPTの山本です。

 

ご存知の方も多いとは思いますが、私のはじめての論文が理学療法学に掲載されました。これ達成感すごいです。苦労したかいがありました。

 

ちなみに初めてやった研究がこれなのです。(今まで発表した研究は4つくらいでしょうか)なので思い入れも深く、感慨深いものです。私は大学院にも行っていないし、学生のときは勉強せずさぼってばかり。研究・統計のことに関しては素人です。

 

ですが目の前に目標があるとなんとかなるもので茨城県立医療大学の青山先生(そのときは当院にいました)に習いながらなんとかしました。

 

関東甲信越ブロック学術大会では後輩の発表に論文読みましたと言ってくれる人もいたみたいでありがたい限りです。

 

昨日の東京呼吸循環腎研修会では高橋先生や西川先生に別刷りを渡すこともできました。ようやく認識されてきました。

 

 

f:id:itarehapt:20161031212947j:plain

そんなこともあってか某ジャーナルから執筆依頼を頂き書くことにしました。それも大変とは思いますが楽しみです。

 

課題は自分で作るものだと思います。目標に近づける課題を自分に課すと良いと思います。

 

これからも家事をしつつ学術的な活動をしていきたいと思います。

 

 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/43/5/43_11077/_pdf

 

リンク貼っておきますのでよかったら見てやってください。

 

山本智史

文献抄読会 10月12日

みなさん、こんにちは。広報担当の石井岳です。

以前告知していた10月3日の第一回文献抄読会は延期となり、10月12日に行われました。

本日は文献抄読会の概要と第一回の内容をお伝えできればと思います。

 

今後、文献抄読会は月一回のペースで行われ、毎月参加者が交代制で文献のプレゼンを行っていきます。

本文献抄読会の目的は以下の通りとなっています。

・logical thinking及びclinical reasoning(論理的・批判的思考)を養う

・臨床や学術活動に役立つ根拠の充実

・プレゼンテーション能力の向上

 

第一回のプレゼンターは石井達也さんで文献の使い方、検索方法、英論文を選ぶ・読む方法の講義に加えて、2009年の臨床バイオメカニクス学会誌に掲載された宮地司らの「筋電気刺激を利用したClosed Kinetic chainにおける二関節筋作用の解析」という文献を紹介してくれました。

 

以下、簡単に文献の内容を紹介させていただきます。

健常成人男性19名を対象として、座位(体幹垂直位、膝関節屈曲60°、足関節背屈10°)にて右下肢キッキング動作中に大腿直筋、内・外側広筋、内・外側ハムストリングスにそれぞれ電気刺激を行う。その際、床反力計と荷重解析システムにて各関節モーメントと床反力ベクトルへの垂線×力の強さを算出し、検討したものです。

結果は、広筋群への電気刺激時には床反力ベクトルは股関節と膝関節のほぼ中間を通り、足部の出力は最も大きくなりました。大腿直筋への電気刺激時には床反力ベクトルは股関節の後方を通り、ハムストリングスへの電気刺激時には床反力ベクトルは膝関節のすぐ後方を通っていました。また2つの筋の足部出力は同程度でした。

 

f:id:itarehapt:20161021234854j:plain

考察では、以上の結果から、CKCにおいて単関節筋である広筋群は出力に関与し、二関節筋である大腿直筋、ハムストリングスは出力の方向制御に関与していると考えられる。また、ハムストリングスは股関節モーメントアーム長が膝関節に比べて有意に大きくなっていたことからCKCでは股関節伸展及び膝関節伸展作用を持つと考えられると述べられています。

 

本文献抄読会では、スライドの最後に臨床的意義というスライドを作成し、その文献をいかに臨床へ繋げるかをディスカッションできる場となっています。

今回紹介した文献の臨床的意義としては、CKCの動作上での単関節筋と二関節筋の特性と床反力との関係を理解することで膝関節の観察のポイントが見えてくるということでした。

 

今回は第一回ということもあり、ディスカッションもほどほどでしたが、今後回数を重ねていくことで論理的思考が鍛えられ、より有意義なディスカッションができる場となっていくのだろうな~などと考えております。笑

また臨床の疑問を解決していくきっかけになっていければと思います。

 

長文になりましたが最後までお付き合いいただきありがとうございます。第二回は11月9日を予定しています。

 

板リハPT部門の詳細はこちらのHPにて紹介しています。

中途採用の募集も行っていますので興味がありましたら電話・見学等お待ちしています。

板リハ 理学療法HP

全国学術研修大会in沖縄に参加して

こんにちは。広報担当の小栢です。

先日、第51回 日本理学療法士協会国学術研修大会 in 沖縄 へ参加してきました。

 

f:id:itarehapt:20161010221219j:image

f:id:itarehapt:20161010221235j:image

 

国学術研修大会は、全国各地の著名な先生方の講演を拝聴できるもので、私は今回初めて参加させて頂きました。

 

今大会では、以前から私が興味を持っていた予防分野の講演もいくつかありました。
その中でも今回は、沖縄メディカル病院 副院長 吉田 貞夫先生の講演についての感想を述べさせていただこうと思います。
タイトルは
リハビリテーションにおける進化型栄養サポートの必要性 〜フレイル、サルコペニア認知症と向き合って、アウトカムの改善へ〜」


吉田先生は医師の視点からリハビリテーションについて述べていました。
特に、認知症に対するサポートとして、リハビリスタッフとして栄養面に気づきを持つことの重要性について述べられていました。


私自身、認知症に対するリハビリテーションには難しさを感じることが多分にあります。
それは、ADLにおける改善率があまり高くないことによるものだと考えられます。


チームアプローチとして、栄養状態や体重、口腔機能などについても評価していくことで、フレイル、サルコペニア状態にあるより運動療法の効果を高める必要があると確認することができました。

 


近年の学術集会などでは、フレイル、サルコペニア認知症などの予防分野についての研究発表が増加傾向にあるように思います。
実際に今大会でも多くの予防についての講演がありました。
それだけ関心が高まっている分野であり、解決を求められている分野だと感じています。


また、これまで私が興味をもっていた分野でもある、行動変容や認知行動療法などについても講演の中で触れている講演がいくつかあり、改めてその必要性や重要性を再確認することができました。


当院においても、さらなる予防分野に対する関心をもち、介入や研究を進めていく必要があると、今大会を通して感じました。

 

今回は長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

部門責任者より - イムス板橋リハビリテーション病院 理学療法部門HP

 

 

外部講師の勉強会

理学療法士にとって「歩行分析」は切っても切れない関係にあると思っています。歩行は問題を包み隠さず、介入の手段を提供してくれるまさに情報源。そんなことを帰宅途中の電車内で考えています。

 

さて、今日は業務後に外部講師の方に勉強会をしていただきました。講師は了徳寺大学の盆子原秀三先生です。テーマはもちろん「臨床に役立つ歩行分析」です。

 

盆子原先生は「観察による歩行分析」の共訳者であり、臨床歩行分析研究会でもご活躍されています。私の学生時代の恩師で、そのご縁もあり毎年当院にて歩行分析に関する講義をしていただいてます。

 

歩行分析において重要なことは、トリックモーションの原因がどこに潜んでいるかだということを再認識することができました。見抜くポイントは「縦の関係性」ですね。各関節で生じている逸脱動作という点と点を、線で繋げることを心がけたいと思います。その積み重ねが自分の中での多様な分析パターンの形成となり、画一的な分析を免れるわけです。

 

今日の勉強会は33名のPTが参加しました。この講義を受けて何人のPTが明日から実践していくか、楽しみですね。

お忙しい中、また授業後の遅い時間にも関わらず快く講師を引き受けてくださった盆子原先生に感謝申し上げます。ありがとうございました。

 

石井達也